皆さんは出世魚という言葉を聞いたことがありますか?
出世魚とは成長する過程の中で名前が変化していく魚のことを指します。
例えばハマチとブリは出世魚で、ハマチが成長するとブリと呼ばれるようになります。
今回は出世魚が何種類いるのかを詳しく解説させていただきたいと思います。
早速見ていただきましょう。
目次
出世魚とは?
出世魚とは成長する過程の中で名前が変化していく魚のことを指します。
名前は全国一律で決められているのではなく、場所や大きさによって異なります。
具体的には以下のようになります。
・都道府県
・地方
・漁港
・漁師
・市場
・魚の大きさ
ではなぜ出世魚と呼ばれているのでしょうか?
その秘密は江戸時代まで行われていた儀式にありました。
江戸時代までは出世をした時や成人を迎えた際に自分の名前を変える儀式が行われており、そのお祝いに名前が変わる魚が振舞われることがありました。
その後その魚は「名前が変わる魚」=「縁起が良い魚」となり、いつしか「出世魚」と呼ばれるようになりました。
参考 出世魚 コトバンク
出世魚は何種類いるのか?
出世魚は以下の6種類が該当します。
・ブリ
・スズキ
・カンパチ
・クロダイ
・イワシ
・ボラ
また、マグロを出世魚に含める場合がありますが厳密には間違いです。
マグロの一種であるクロマグロは大人になると「シビ」と呼ばれるようになります(地域によります)。
この「シビ」が{死日(しじつ)}を連想させて縁起が悪いという声が相次いだため、マグロは出世魚から外されることになりました。
名前が変わるからと言ってそれが必ず出世魚に含まれるとは限らないということですね。
それではそれぞれの出世魚について詳しく解説させていただきたいと思います。
ブリ
1種類目はブリです。
ブリはスズキ目アジ科ブリ属に分類される海水魚で、北海道から沖縄まで幅広く生息しています。
12月~2月ごろに最も旬を迎え、刺身やブリしゃぶなどにすると美味しく食べることができます。
それではブリの名前の変わり方を見ていただきましょう。
ブリの名前の変わり方は次のようになります。
北海道
モジャコ(稚魚)→フクラゲ(35cm以下)→イナダ(35~80cm)→ブリ(80cm以上)
東北地方
モジャコ→コズクラ(35cm以下)→フクラギ(35~60cm)→ガンドブリ(60~80cm)→ブリ(80cm以上)
関東地方
モジャコ→ワカシ(35cm以下)→イナダ(35~60cm)→ワラサ(60~80cm)→ブリ(80cm以上)
中部地方
モジャコ→コズクラ(35cm以下)→フクラギ(35~60cm)→ガンドブリ(60~80cm)→ブリ(80cm以上)
関西地方
モジャコ→ツバス(35cm以下)→ハマチ(35~60cm)→メジロ(60~80cm)→ブリ(80cm以上)
中国地方
モジャコ→ヤズ(35cm以下)→ハマチ(35~80cm)→ブリ(80cm以上)
四国地方
モジャコ→ワカナゴ(35cm以下)→ハマチ(35~60cm)→メジロ(60~80cm)→ブリ(80cm以上)
九州・沖縄地方
モジャコ→ヤズ(35cm以下)→ハマチ(35~60cm)→メジロ(60~80cm)→ブリ(80cm以上)
スズキ
2種類目はスズキです。
スズキはスズキ目スズキ科スズキ属に分類される魚で、北は北海道、南は九州・沖縄まで幅広く生息している魚です。
夏に最も旬を迎え、刺身や塩焼きなどにすると美味しく食べることができます。
それではスズキの名前がどのように変わるかを見ていただきましょう。
スズキの名前の変わり方は次のようになります。
北海道
ヒカリゴ(稚魚)→コッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→フッコ(40~60cm)→スズキ(60cm以上)
東北地方
ヒカリゴ→コッパ・セッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→フッコ(40~60cm)→スズキ(60cm以上)
関東地方
ヒカリゴ→コッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→フッコ(40~60cm)→スズキ(60cm以上)→オオタロウ(老成魚)
中部地方
ヒカリゴ→コッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→マダカ(40~60cm)→スズキ(60cm以上)→ニュウドウ(老成魚)
関西地方
ヒカリゴ→コッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→ハネ(40~60cm)→スズキ(60cm以上)
中国地方
ヒカリゴ→コッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→アンサン(40~60cm)→スズキ(60cm以上)
四国地方
ヒカリゴ→コッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→フッコ(40~60cm)→スズキ(60cm以上)
九州・沖縄地方
ヒカリゴ→コッパ(20cm以下)→セイゴ(20~40cm)→フッコ・ハクラ(40~60cm)→スズキ(60cm以上)→ヌリ(老成魚)
カンパチ
3種類目はカンパチです。
カンパチはスズキ目アジ科ブリ属に分類される魚で、北海道より南の地域に生息している魚です。
カンパチは夏に旬を迎え、刺身や塩焼きにして食べることが多い魚です。
ちなみに稚魚の名前はブリと同様にモジャコとなります。
それではカンパチの名前の変わり方を見ていただきましょう。
北海道
生息しない
東北地方
モジャコ(稚魚)→シオッコ(35cm以下)→シオゴ(35~60cm)→カンパチ(60cm以上)
関東地方
モジャコ→シオッコ(35cm以下)→シオゴ(35~60cm)→アカハナ(60~80cm)→カンパチ(80cm以上)
中部地方
モジャコ→シオッコ(35cm以下)→シオゴ(35~60cm)→アカハナ(60~80cm)→カンパチ(80cm以上)
関西地方
モジャコ→シオ(60cm以下)→カンパチ(60cm以上)
中国地方
モジャコ→シオ(60cm以下)→カンパチ(60cm以上)
九州・沖縄地方
モジャコ→シオッコ(35cm以下)→シオゴ・ネイゴ(35~60cm)→アカバナ・アカバラ(60~80cm)→カンパチ(80cm以上)
クロダイ
4種類目はクロダイです。
クロダイはスズキ目タイ科クロダイ属に分類される魚で、日本や朝鮮半島、台湾などのアジア地域に生息しています。
冬に最も旬を迎え、調理方法も刺身や塩焼き、カルパッチョなど幅広い料理に利用することができます。
ではクロダイの名前の変わり方を見ていただきましょう。
北海道
生息しない
東北地方
チン(10cm以下)→チンチン(10~20cm)→クロ(20~30cm)→クロダイ(30cm以上)
関東地方
チン(10cm以下)→チンチン(10~20cm)→カイズ・ケイズ(20~30cm)→クロダイ(30cm以上)
中部地方
チン(10cm以下)→チンチン(10~20cm)→カワダイ(20~30cm)→クロダイ(30cm以上)
関西地方
チン(10cm以下)→ババタレ(10~20cm)→チヌ(20~30cm)→オオヌケ(30cm以上)
中国地方
チン(10cm以下)→ババタレ(10~20cm)→チンダイ(20~30cm)→クロダイ(30cm以上)
四国地方
イッサイ(10cm以下)→ニサイ(10~20cm)→コグロ(20~30cm)→クロダイ(30cm以上)
九州・沖縄地方
チン(10cm以下)→メイタ(10~20cm)→チヌ(20~30cm)→クロダイ(30cm以上)
マイワシ
5種類目はマイワシです。
マイワシはニシン目ニシン科マイワシ属に分類される魚で、クロダイと同様にアジア周辺に生息しています。
刺身や蒲焼き、つみれ汁などにすると美味しく食べることができます。
節分の時に食べる魚としても知られていますね。
マイワシの名前の変わり方は次のようになります。
全国一律
シラス・マシラス(稚魚)→カエリ・アオコ・ヒラゴ・タツクチ(10cm以下)→コバ(10~15cm)→チュウバ(15~20cm)→オオバ(20cm以上)
ボラ
6種類目はボラです。
ボラはボラ目ボラ科ボラ属に分類される魚で、北海道以南の日本列島全域や台湾、ベトナムなどに生息しています。
ボラは臭いが強いためはずれとされることが多い魚ですが、水質が良い場所で釣ったものであればはずれどころか美味しく食べることもできるそうです。
それでは名前の変わり方をどうぞ。
北海道
生息しない
東北地方
コツブラ(稚魚)→ツボ(3~18cm)→ミョウゲチ(18~30cm)→ボラ(30cm以上)
関東地方
オボコ(稚魚)→イナッコ(3~18cm)→イナ(18~30cm)→ボラ(30~40cm)→トド(40cm以上)
中部地方
オボコ(稚魚)→イナッコ(3~18cm)→イナ(18~30cm)→ボラ(30~40cm)→トド(40cm以上)
関西地方
ハク(稚魚)→オボコ(3~18cm)→イナ(18~30cm)→ボラ(30~40cm)→トド(40cm以上)
中国地方
ハク(稚魚)→オボコ(3~18cm)→イナ(18~30cm)→マボラ(30~40cm)→トド(40cm以上)
四国地方
イキナゴ(稚魚)→コボラ(3~18cm)→イナ(18~30cm)→ボラ(30~40cm)→オオボラ(40cm以上)
九州・沖縄地方
イキナゴ(稚魚)→コボラ(3~18cm)→イナ(18~30cm)→ツクラ(30~40cm)→トド(40cm以上)
まとめ
出世魚が何種類いるのかを解説させていただきました。
今回紹介した内容をまとめると次のようになります。
・出世魚は全部で6種類存在する
・具体的にはブリ、スズキ、カンパチ、クロダイ、マイワシ、ボラの6種類
・場所や大きさによって名前が変わる
出世魚は縁起が良い素敵な文化だなあと感じます。
先人の方々が受け継いできた文化をこれからも守り続けたいですね。
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