皆さんはタスマニアデビルという動物をご存知でしょうか?
タスマニアデビルとは黒く小さな体に悪魔のような耳が生えている非常に可愛らしい動物です。
ですがタスマニアデビルは絶滅危惧種に指定(2006年)されており、今もなお個体数は減り続けています。なぜなのでしょうか?
絶滅危惧種に指定されているくらいなのでよっぽどな原因があってもおかしくありません。
今回はタスマニアデビルが絶滅危惧種に指定されている理由について詳しく解説させていただきたいと思います。
早速見ていただきましょう。
目次
タスマニアデビルとは?
名前 | タスマニアデビル |
英語 | Tasmanian devil |
学名 | Sarcophilus ursinus |
分類 | フクロネコ目 フクロネコ科 タスマニアデビル属 |
体長 | 約50~80cm |
体重 | 約5~15kg |
生息地 | オーストラリア(タスマニア州) |
餌 | 昆虫,魚類,鳥類,爬虫類,哺乳類など |
タスマニアデビルとはフクロネコ目フクロネコ科タスマニアデビル属に分類される哺乳類で、タスマニア州(オーストラリア)にのみ生息しています。
お腹に赤ちゃんを育てるための袋(育児嚢)を持っているのでカンガルーやフクロモモンガなどと同じく有袋類に分類されます。
食性は肉食で昆虫や魚類、鳥類などを食べて生活しており、死肉を食べることも少なくありません。
また、記事の冒頭にも紹介した通り生息数が減少したことを受けて2006年に絶滅危惧種に指定されました。
ちなみに「フクロアナグマ」や「フクログマ」、「フクロクズリ」と呼ばれることもあります。
タスマニアデビルが絶滅危惧種に指定されている理由とは?
なぜタスマニアデビルは絶滅危惧種に指定されているのでしょうか?
この項目では本題のタスマニアデビルが絶滅危惧種に指定されている理由について詳しく解説させていただきたいと思います。
感染する癌(がん)が蔓延しているから
1996年に突如発生した感染する癌が今でもタスマニアデビルの間で蔓延しています。
この癌はデビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)と言われており、一度感染すると顔や首の周りに腫瘍が発生します。
通常タスマニアデビルの寿命は約5~6年と言われていますが、この癌に感染すると寿命が半年~3年ほどに縮まってしまいます。
この癌に感染すると肺や脾臓などの機能が著しく低下しますが、最も多い死因は餓死(目や口元が腫瘍に覆われて餌を食べられなくなる)です。
また、タスマニアデビルは同属同士の仲が非常に悪くパートナーや餌の奪い合いが原因で喧嘩になることも少なくありません。
主な感染経路は感染している個体の腫瘍に直接噛みついてしまうことと、喧嘩の際にできた傷口に腫瘍の肉片が入り込んでしまうことの二つです。
駆除が行われていたから
十四世紀の初め頃にタスマニアデビルと「フクロオオカミ」という狼の駆除が行われることになります。
タスマニアデビルは動物の肉なら何でも食べるほど凶暴な肉食動物で、時には家畜を襲うこともありました。
また、フクロオオカミも同じように家畜を襲うことが多くありました。
これらは家畜へ甚大な被害を与えたため、家畜農家の方々はタスマニアデビルとフクロオオカミを駆除する方針を固めました。
その後も駆除は続き十八世紀の初め頃になると、今度は企業と政府が駆除の活動に介入することになります。
企業と政府はタスマニアデビルとフクロオオカミを駆除すると報酬を与えていたため、お金目当てで駆除を行う者も少なくありませんでした。
これによって生息数が今までよりも大幅に激減してしまい、十九世紀の初め頃にフクロオオカミは絶滅してしまいました。
ところがフクロオオカミが絶滅すると「タスマニアデビルまで駆除するとオーストラリアの動物がいなくなってしまう。」「やっぱり保護しよう。」とまさかの手のひら返しが起こります。
「家畜を襲う悪魔」とまで呼ばれていたタスマニアデビルですが今では「愛すべき存在」とまで言われているそうです。
ディンゴに襲われたから
ディンゴに襲われたことで生息数が激減したと言われています。
ディンゴとは人に飼われていた犬が野生化したと考えられている動物で、数万年前にオーストラリアに持ち込まれたと言われています。
ディンゴは雑食の動物ですが、タスマニアデビルのような小動物を襲うこともしばしばあります。
その上ディンゴは群れで行動しているため常に単独行動をしているタスマニアデビルが襲われるとひとたまりもありません。
タスマニアデビルが絶滅危惧種から脱する可能性とは?
タスマニアデビルの生息数が減少している最も大きな原因はデビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)です。
著しく生息数が減少しているタスマニアデビルですが、癌の抗体を持っている個体がいることがタスマニア大学のロドリゴ・ハメデ氏(以下ハメデ)の研究結果で明らかになりました。
ハメデは癌に感染した個体に抗体があるかどうか抗体検査を行ったところ何と数十匹の個体に抗体が確認されました。
また、タスマニアデビルは通常春(現地時間)に発情期を迎えますが最近ではこれが年に数回訪れることが確認されています。
抗体を持っている個体が増えると同時に発情期の頻度も高くなれば絶滅危惧種から脱する可能性もゼロではないと言えるでしょう。
参考 伝染性がんに驚異的速さで適応、絶滅危惧種タスマニアデビル AFP BB NEWS
まとめ
タスマニアデビルが絶滅危惧種に指定されている理由について解説させていただきました。
今回紹介させていただいた内容をまとめると次のようになります。
・タスマニアデビルが絶滅危惧種に指定されている理由は以下3つ
「感染する癌(がん)が蔓延しているから」
「駆除が行われていたから」
「ディンゴに襲われたから」
・抗体を持っている個体が増えて発情期の頻度が高くなれば絶滅から脱する可能性もゼロではない
現在タスマニアデビルの生息数は全盛期の約20~30%ほどと言われているそうです。
タスマニアデビルを守る取り組みが功を奏して絶滅を防げることを願っています。
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